地域企業魅力発信
インタビューシップ

大阪府の企業

2017/01/11

株式会社KMユナイテッド (平成28年取材)

株式会社 KMユナイテッド 様

取材者 大阪経済大学 経営学部  奥田優美、橋本麻由、浜田美咲

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2013年株式会社竹延が創設した、建築塗装のプロフェッショナル育成企業。

建築業界の労務不足問題に立ち向かうべく、徹底的な職人育成と女性従業員が働きやすい環境づくりの整備に努めている。

これらの取り組みにより、「ダイバーシティ100選 2016」「女性活躍パワーアップ大賞 2016」など、さまざまな賞を受賞。

会社名 株式会社KMユナイテッド
本社所在地 〒534-0014 大阪府大阪市都島区都島北通1丁目2−14
資本金 1,000万円
従業員数 30人
業 種 建築塗装業、塗料販売(小売)
U R L http://www.paintnavi.co.jp/kmunited/

建築・塗装業が抱える後継者、労務者不足問題への取り組み

 現場で活躍する職人の年齢はほとんどが50〜70代である。後継者不足の最も大きな原因は、日本の職人世界では当たり前だった「見習いは師匠の背中を見て覚えよ」という教育慣習である。この伝統的な慣習が、現代になって新人職人の成長を遅れさせているのだ。

【株式会社KMユナイテッドのここがすごい!】徹底的なマンツーマン教育で塗装のプロを育成

 そこでKMユナイテッドは、高齢の熟練職人を3人招き、熟練職人が新人職人にマンツーマンで技術を教え込むという教育体制をとった。この方法により短期間で新人職人の技術を向上させ自信をつけることに成功した。短期間で次々と現場で活躍できる職人を育成していくことが労務不足の軽減につながるのだ。
 また、その他の職人育成の取り組みとして従業員の入社前実践練習や、建設訓練センターでの研修参加も行っている。入社前練習は、高い技術を持ったインストラクターの指導で3回ほど行われ、未経験者でも職人の基礎技術を学べる機会を設けている。そこでは、パテやヘラを使った基本的な作業を学ぶ。そして入社後は春か秋に約2か月、「富士教育訓練センター」という建設訓練センターでの研修に参加する。ここでは、社会人として大切なあいさつやマナーなどの厳しい訓練を受け、左官コースで建築の基本や左官の基礎、絵付けなど幅広い知識や技術を身に着ける。このように、教育センターでは精神面、技術面ともにプロの職人になれるよう徹底的に教え込まれる。さらに、ほかの建築会社の人や同業のほかの作業を学ぶ人たちと共同生活をしていくため、たくさんの職人との交流もあるそうだ。
 このようにKMユナイテッドは、経験、国籍、性別問わず、やる気がある人なら誰でも安心して、確実に技術を身につけられる教育体制をしっかり整備し、建築・塗装業の新たな人材の創出に努めている。このような教育体制が功を奏し、現在では職人の求人応募も年々増加傾向にあるそうだ。自社の業績だけ考えるのではなく、建築・塗装業の明るい将来のためにさまざまな取り組みを行う姿勢が、KMユナイテッドの企業信念の素晴らしさであると感じた。 

【株式会社KMユナイテッドのここがすごい!】キッズルーム創設で女性従業員増加中!!

 KMユナイテッドはまさに働く女性従業員の強い味方である。
 建築・塗装の現場の仕事は保育所が始まっていない早朝出勤であるため、普通の保育所では子供を預けることが難しい。そこで、今年の4月から育児に励む従業員(男性も含む)の子供を預かることのできるキッズルームが事務所内に設置された。ここのキッズルームは普通の保育園とは違い、朝6時からの早朝保育や、従業員の就業時間に合わせた臨機応変な延長保育が可能であり、1歳から小学校就業前までの児童最大12人の受け入れ体制が整っている。現在では2人の従業員がそれぞれ1人ずつ子供を預けている。キッズルームの中には、12人の児童がのびのびと遊べる空間をはじめ、バスルームや冷蔵庫なども完備されている。最も印象深かったのが、従業員の子供がペンキを使って色を塗った本棚である。お子さんによる本棚の塗装の体験イベントは、親の仕事に親しみをもち、モノづくりの楽しさを実感してもらうために行われた。さらには子供が親の背中を追って、将来塗装関係の仕事を希望するきっかけとなるのではないかと感じた。そのほか子育てに関連し、キッズルーム利用の補助金制度や、従業員の短縮時間シフト制も設けている。現在では、同業の企業と提携し、キッズルームの共同使用を考えているそうだ。

「建築・塗装業=男性だけ」の時代は終わった!! 働く女性サポートと建築・塗装業の人材危機に立ち向かう

 なぜ、建築業という男性イメージの強い職種であるにも関わらず女性の受け入れに積極的であるのか。私たちはここで働く女性の話を聞くことができた。「もともと建築現場に『怖い』『汚い』という印象を正直もっていたが、アートやモノづくりに関わる仕事がしたくてこの仕事を始めた。実際、建築現場では女性用の更衣室が設置されてなかったり、男性のにおいに圧倒されたりなど、衝撃を受けることが多かった。でも、職場にだんだん女性が増えていくうちに事務所は清潔に保たれ、女性用のトイレや更衣室も完備されるようになり、女性も男性も働きやすい環境になった」と、女性職人の浦西さんは言う。建設現場で女性が働くことで、細やかな対応や清潔で整った環境づくりが実現されるというメリットがあるのだ。また、事務作業が苦手だが、「モノづくりが好き」「芸大卒を生かしたい」「からだを動かす仕事に就きたい」という女性はたくさんいる。そのような女性に着目し、女性が働きやすい環境を整えることで人手不足や後継者不足問題を解決していくことが建築・塗装業の更なる発展につながるのだ。

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