地域企業魅力発信
インタビューシップ
和歌山県の企業
高木彫刻 株式会社 様(平成28年取材)
高木彫刻 株式会社 様(※高ははしご高)
取材者 和歌山信愛女子短期大学 濱口詩菜
和歌山信愛女子短期大学 紀平栞里
高木彫刻株式会社 本社
高木彫刻株式会社様は、和歌山の地場産業である繊維に模様を印捺する捺染(なっせん)業において、その模様づけに使用されるロールの彫刻メーカーとして産声を上げました。
さまざまな技術革新を経て、衣・食・住・情報全ての分野にわたるコンバーティング加工用ロールの総合メーカーです。
経済産業省中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれています。
今回のインタビューでは、高木代表取締役に会社の魅力を伺いました。
取材の様子
(左) 高木代表取締役 (中央)濱口詩菜さん(右) 紀平栞里さん
会社名 高木彫刻 株式会社
創業 大正10年2月13日
設立 昭和23年12月8日
資本金 6,750万円
代表者 代表取締役 髙木秀仁
従業員 86名
営業種目 ・ 捺染用ロール
・ ロータリースクリーン、フラットスクリーン、RSI
・ 各種エンボスロール
・ グラビアプリントロール
・ コーティング用アニロックスロール
・ ニッケルメッキ製品、銅メッキ、クロムメッキ
・ 海外輸出入業務
※ニッケルメッキ製品(ロータリースクリーン、スリーブ、ネット、ドラム、箔、フィルター等)
【高木代表取締役に聞く!】『御社の製品は様々な分野の商品を製造するために使用されているとの事ですが、私達が知っている身近なものでは、どのようなものがありますか?』
繊維関連では衣服やパジャマ、布団カバーなど布地、生地に模様付けをすることを捺染といいますが、この捺染用途で使用されます。
また、食品関連ではお菓子のクッキーやビスケットの表面に絵柄を印刷するためのロールや住宅関連では、壁紙や床材などの印刷や凹凸を付けるための加工用に、また車両などのカーシートや内装材に使用される印刷や凹凸を付けるための加工などに使用されております。更に電子関連としまして液晶テレビやスマートフォンなどの画面に使用される光学用フィルムなどを作るためのロールがあります。
関連会社である株式会社ニーフテックではPTCと呼ばれる電池やモーターに過電流がかかった時にダメージを与えないように電流を遮断するための保護素子の材料を作っています。これはスマートフォンやノートパソコンに使用される電池や車のパワーウィンドウなどのモーターを保護するために使用されております。
【高木代表取締役に聞く!】『大正10年創業と歴史のある企業だと思いますが、ものづくり企業として変化してきた事はありますか?』
おかげさまで今年で95年を迎えております。1948年12月8日に法人化され株式会社として設立してから12月で68年となります。当社は約20年周期で大きな節目を迎えております。
設立から20年間は創業品目である、捺染彫刻業に徹した時期でした。繊維関連の仕事が100%で彫刻、製版を業界に先駆けて開発、企業として組織化し、人、モノ、カネの経営資源確保に邁進した時期でした。
1968年から1987年の20年間は、近代企業に脱皮する時期でした。経営や技術コンサルタントの指導を仰ぎながら、捺染業以外の分野である壁紙、床材、包装材などに使用されるグラビア製版やエンボス彫刻を開始しました。一方繊維業界の海外進出に伴いまして、台湾、アメリカ合衆国、コスタリカに合弁会社を設立し、海外生産を開始しました。
1988年から2007年の20年間についてはアナログ加工からデジタル加工の移行に取組んだ時期でした。フィルムを使ったアナログ製版からパソコンで処理したデータを直接NC彫刻機やレーザー彫刻機に出力し加工するデジタル製版に移行しました。
現在はデジタル技術を生かして高精度の彫刻に取組んでおります。時代ととともにお客様が求めている物を当社の技術を活かして作り上げて来まして、国内では当社だけですが、金属ロール加工の総合メーカーとして取組んでおります。また、1990年にニッケルめっきを主業務としたニーフテック工場が完成し、1992年には京都の銅箔を製造する大手企業との合弁で(株)ニーフテックを設立しました。
【高木代表取締役に聞く!】『様々なお客様からの要望にこたえるために、苦労する点は何ですか?』
最近はお客様の品質要求が益々高くなり、かつ納期がとても短い事です。品質に関しては品質向上のための高精度の加工機や検査機器の導入に積極的に取り組んでいます。納期対応に関しても生産能力を上げる為の設備導入や適正な人員配置をし、迅速対応に努めています。お客様の要求は益々高精度な要求が増えて来ておりますので、アウトソーシングも視野に入れ、他社と強調しながら対応しております。今後も色々な要求に対応するために、開発を社外の研究機関や産学官連携で取り組みたいと考えております。
【高木代表取締役に聞く!】『どのような人材が御社の仕事に向いていますか?』
当社だけではないとは思いますが、目標に対して最後まであきらめない人材が向いています。
当社の仕事は部署によって仕事内容が変わります。例えば画像処理課ではお客様からのデザインを基にパソコンで画像処理を行います。そのためPhotoshopやIllustratorを使って根気よく作業できる人に向いています。
その他各製版課は機械加工や化学薬品を使った加工を行っており、機械加工や化学に興味がある人に向いています。どの工程も当社独自の加工が多いので、基本的には入社してから仕事を覚えることとなります。そのため、改善意識を持って根気よく正確に仕事に取組む人材が望ましいのです。まず入社時は与えられた仕事を正確に決められた時間内に行う事が重要です。
その後はほかの種類の仕事を覚え、一人で2種類や3種類の仕事を行います。先ほどもお話しした通り、お客様からの品質要求は高まっておりますし、納期も短くなっております。どのようにすれば精度よく、短納期に加工できるかを常に考え改善を図る事が重要となります。