地域企業魅力発信
インタビューシップ
京都府の企業
株式会社 傳來工房 (平成28年取材)
会社名 株式会社 傳來工房
資本金(万円) 2,000万円
従業員数(人) 42名
男女比 男70%:女30%
業種 非鉄金属製造業
平均年齢(歳) 42
平均勤続年数(年) 13
離職率 2%
有給休暇の取得率 75%
モデル年収 480万・34歳・入社6年目
初任給実績 216,000円(大卒)
年間休日数 114
月平均残業時間 12
採用実績(人)
・中途採用実績【平成25年〜平成27年】
2014 新卒 2
2015 新卒 1
2016 新卒 3
2014 中途 1
2015 中途 2
2016 中途 1
・最新の障害者雇用率 0.0%
1200年の歴史を持つ企業
皆さんは「鋳造(ちゅうぞう)」という言葉を耳にしたことがありますか?アルミや鉄、銅などの材料を融点よりも高い温度で液化させたあと、型に流し込んで冷やすことで、目的に合わせた形に加工する技術のことです。それによってできる製品を「鋳物(いもの)」と言います。その鋳造技術を駆使して重要文化財の修復工事まで手掛ける企業が存在します。今から1200年前、平安時代に遣唐使の一員であった空海によって日本に伝えられた鋳造法、その高い技術を習得した鋳造技術集団「傳來」。その中でも一番の技術の持ち主によって「傳來」の銘は受け継がれていき、それがこの企業のルーツとなっています。京都には創業から長い時を重ねている、いわゆる「老舗」はたくさんありますが、その中でも1200年という歴史は偉大なものです。そのため、業界内でも「傳來」の名前は大きい存在であり、「高いレベルを求めるなら傳來工房で…」という声が多いのです。
新しいものづくりへの思い
歴史は大切なものです。長く続くということは、会社も動物と同じように環境に適応しているということです。そのため、傳來工房は、歴史を重ねて洗練された技術を応用して新しいものを作っていくという探求心を持ち続けています。その一つが鋳造技術を利用した屋外構造物(エクステリアとも呼ばれ、表札やフェンスなどのこと)のブランドの立ち上げです。長い歴史を持つ技術を今までブランドが存在しなかった分野に取り入れることで、高い技術を有しながらも、新しい分野での開拓を実現可能にしたのです。その結果として、確かな信頼をもとに現代の色で鮮やかに彩色したオリジナルの商品を発信して人気を博しているのです。
このような鋳造技術を現代の世の中に発信していくうえでの精神を綴ったものとして「傳來合言葉」というものがあります。
『新しく変わったものを創れ京のものづくり/知恵と技磨いて目指せ豊かな心豊かな暮らし/後の世に誇れるものを送れ傳來ものづくり』
長い歴史を経て存在することは、「先人たちが築いてくれた信頼と信用の厚みである」と、社長の橋本さんはあるインタビューでおっしゃっていました。長い歴史に胡坐をかくのではなく、誇りを持ちつつも新しいことに挑戦し続ける企業、それが「傳來工房」なのです。
環境整備
傳來工房の魅力の一つに、環境整備に力を入れている点が挙げられます。環境整備とは、礼儀・規律・清潔・整頓・安全・衛生の6つのことを指します。この環境整備は約20年前に橋本社長が外部のセミナーで出会い、社長自らトイレ掃除から始めたものです。最初は社長だけが実行していましたが、その姿を見た社員の方も感化されて一緒に行うようになり、それ以来ずっと続けられている習慣となりました。今ではトイレ掃除に限らず環境整備に対して目を向けるべき所などを発見したら、社員ひとり一人が自ら発信していくようにまでなったそうです。
私たちがインターンに伺った際も、まず目にしたのは、社員全員で会社の掃除を行っている姿でした。私たちが通るたびに作業している手を止めて深くお辞儀し、挨拶してくださる、そのような歓迎姿勢から仕事がやりやすい環境だと感じました。
朝礼では、お客様がいらっしゃった際に気持ちよく迎えられるように、挨拶の練習、笑顔の練習が行われていました。毎日のこうした練習があの素晴らしい挨拶に繋がるのだと納得しました。加えて、朝礼では皆の前で手短に話をする機会が設けられており、お互いのことを知ることができる、より居心地のよい職場作りが意識されています。
3定
インターンの中で最も驚いたことは、整理整頓が細かく行われている点でした。定位置、定品、定量を合わせて3定と言い、事務所の中、工場の中、会社全てが3定でしっかりと固められていました。物の置く場所はもちろん、その向きまで揃えられており、誰が見てもすぐにどこに何が置いてあるのかわかるようになっていました。加えて、備品の量まで例外なく、きっちりと定められていました。物を探している時間を省くなど、滞りなく円滑にベストな状態で仕事に取り組むことができるように徹底されていて、無駄な時間がかからないようになっていました。
このような3定の取り組みは他社の人々も参考にしたいと見学にいらっしゃるとのことでした。他社の見本になるような会社であることに誇りを持ちつつ、ルーティーンとして習慣化しているそうです。社員の方の話では、「環境整備をしていて、小さいことでも気づくようになり、気遣いができるようになった」とその利点についておっしゃっていました。
インタビューシップで得られたこと
インタビューシップでは、実際に社員の方々と一緒にトイレ掃除をはじめとする清掃活動をしたり、笑顔や挨拶の練習をすることで傳來工房の社風の基礎となっている環境整備を体験することができました。それにより、環境整備が言葉だけのものではなく、ひとり一人が高い意識を持って取り組んでいるものであるということを実感することができました。
また、工場見学では、職人さんが一生懸命、丹精込めて商品を作っている所を見せていただき、傳來の「ものづくり」を目にすることができました。一つひとつ手作業で作り上げていく行程もあり、全ての商品に対する情熱を感じ、素直に感動しました。
普段、生活している中では耳にしない言葉である「鋳造・鋳物」。そんな製品に誇りをもって関わり、日常からお客様のことを考えて高い意識をもつ「アツい企業」という印象を受けました。
そんな意識を自ら抱き、働いていらっしゃる社員の方々が創り出す雰囲気こそ、私たちは傳來工房が持つ、一番の魅力なのではないかと思います。