地域企業魅力発信
インタビューシップ
京都府の企業
関西巻取箔工業株式会社 (平成28年取材)
会社名 関西巻取箔工業株式会社
資本金(万円) 1000万
従業員数(人) 15名
男女比 男:70 女:30
業種 製造業
平均年齢(歳) 35歳
平均勤続年数(年) 10
離職率 0%
有給休暇の取得率 20%
モデル年収 300万円(35歳 入社4年)
初任給実績 初任給170,000円(大卒)(基本給13万+各種手当4万)
年間休日数 113
月平均残業時間 1
採用実績(人)
・中途採用実績【平成25年〜平成27年】
2014 新卒 0
2015 新卒 1
2016 新卒 1
2014 中途 1
2015 中途 1
2016 中途 1
・最新の障害者雇用数 0.0%
「箔」をつけるシゴト
「箔」と聞いて、みなさんは一体なにを連想するだろうか。金箔などを思い浮かべると、高価な、ごく一部にしか用いられていないもののように感じるが、実は私たちの身の周りに様々な形で存在している「転写箔」というものがある。例えば、食品包装への賞味期限や製造年月日の表示、Tシャツのプリントや鉛筆のブランドロゴなどもその一部である。転写箔は、別名ホットスタンプとも呼ばれ、熱と圧を用いてプラスチックや木質、金属、塗装面などへ熱転写を行う印刷技術である。今回はこの「箔」を扱う会社の中でも、日本における転写箔開発のパイオニアとも称される、関西巻取箔工業株式会社について学生目線で紹介する。
関西巻取箔工業株式会社(以下、KANMAKI)は、1952年に創業し、2017年で創業66年目を迎える。京都市左京区大原に工場を構え、従業員は男性13名、女性4名の17名、平均年齢は35歳と製造業としては比較的若い。主な事業内容として、上記で紹介した転写箔の中でも「熱転写顔料箔」というジャンルの商品の製造販売を行っている。KANMAKIの顔料箔は、剥離性に優れ、低温かつ短時間での転写加工が可能である。そのため、食品包装用印字箔、家電部品や自動車部品、化粧品パッケージ、文具や雑貨に至るまで様々な生活の場面で活躍している。
「小さくても世界と戦える会社を作りたい」というコンセプトを掲げるKANMAKIは、ただ単に品質を追及するだけではなく、お客様とのコミュニケーションを大切にするなど、自分達の仕事に対して論理的に説明できるよう、商品完成に至るまでのストーリー性を重要視している。
働く環境
KANMAKIでは、働く誰もが自分たちがつくっている商品がどのようにつくられているのか知り、自分たちの商品を知らない人たちにも説明できるようにするため、入社直後は製造部門を経験するスタイルをとっている。実際に、はじめは営業希望だった人が、商品製造に関わるうちに製造部門の魅力に目覚め、製造希望に変更した前例もあるそうだ。就職活躍が目前に迫っている私たち学生としては、他の部門の気づかなかった魅力を発掘するチャンスとなるこのシステムは非常に魅力的に感じた。
このように、KANMAKIでは、商品についての知識を得たうえで、自分がやりたいと思った職種に就き、自分がやりたいことにうちこめる、誰もが自分らしく輝ける環境づくりを心がけている。
これからの戦略と新たな目標
「箔」を扱う業界として、近年は海外からの仕事が増加している。特に特注の製品の依頼が多く、同じものを大量生産するというよりは、様々な種類を少しずつ生産するという傾向にある。しかし、大手企業は大量生産に特化したシステムのため、後者のような商品提供は難しいという。KANMAKIでは、このような多種類少量生産の仕事を積極的に引き受け、売り上げは少なくとも、取り引き先にとって重要な役割を担うことによって、自社の立ち位置を確立している。これは中小企業ならではの戦略ともいえる。
さらに最近では、化粧品業界や自動車業界など、より高い精度を求められる分野に範囲を広げることにより、自社の信頼をより確かなものへと近づけている。
上述したのはKANMAKIの顧客企業に向けての取り組みであるが、消費者に向けての取り組みとしては、カーボン転写紙の要領でシートの上から直筆の文字などを転写する「金文字箔押しペーパー」の製作を行っていることが挙げられる。まだ製品化準備中ではあるものの、オリジナルブックカバー製作といった分野にも応用可能であり、その一環として箔押しワークショップを開催している。(※第8回京都文化ベンチャーコンペティションにて、「京都経済界賞」を受賞。第9回京都文化ベンチャーコンペティションにおいても「京都府知事賞 奨励賞」を受賞)
このような活動を通して、KANMAKIでは、2020年に独自の技術や製品を持ち、既存産業の“すきま”をつく市場で高いシェアと利益を確保し、国際市場の開拓をするという意味の「グローバルニッチトップ」を目指している。
求める人材
そんなKANMAKIの求める人材は、「突破力のある人材」である。グローバル化が進み、社会の流れが絶えず変化する世の中では、企業もそのニーズに合わせて変化していかなければならない。特に上述したような「グローバルニッチトップ」を目指すならばなおさらである。
そのためには従来のかたちに捉われず、企業を「こんな風に変えたい!」「自分はこんな風になりたい!」または「こういう風にはなりたくない!」というビジョンがあり、それを行動に移せる突破力のある人材が必要となる。
では、「突破力」とは何だろうか。KANMAKIの方のお話によると、「突破力のある人材」とは今までの経験から学んだことを積極的にやりたい方向に活かせたり、新たな挑戦に立ち向かっていくことができる人のことである。
例えば、「今までやったことがないからできない」のではなく、「やったことがないからこそ挑戦してみよう」などというチャレンジ精神が感じられる人がこれに当てはまる。
目まぐるしく変化する環境にも柔軟に対応できる「突破力」があり、自分の中でのビジョンがはっきりしている人材こそ、KANMAKIの求める人材である。
今回のインタビューシップを通し、関西巻取箔工業株式会社は、ものづくりに対してとても誠実である印象を受けた。製造業といった観点からみても、これからも様々な業種への進出が期待される、将来性のある企業ではないだろうか。