地域企業魅力発信
インタビューシップ2016
大阪府の企業
株式会社中央電機計器製作所 (平成28年取材)
株式会社 中央電機計器製作所 様
取材者 甲南女子大学 人間科学部文化社会学科 原 奈津美
大阪経済大学 経営学部経営学科 林 真莉子
株式会社中央電機計器製作所様が開発した 微細欠陥検査装置
株式会社中央電機計器製作所様は、大阪市都島区を拠点とし、創業以来80年以上にわたり「ユーザーの立場に立った製品作り」をモットーに、世の中にないカスタムメイドのテスト・計測・制御システムを作るメーカーです。ソフトウェアおよびハードウェアの開発・設計・製作という一貫生産体制が整っています。製造業の基盤を支える計測・制御業界で数十年間にわたり、一部上場企業とダイレクトに取引を行い、数多くのユニークなシステムをユーザーに提供しています。また、十数年前からグローバルに事業展開し、海外への納入実績も数多く蓄積しています。平成24年度「大阪市きらめき企業賞」受賞。平成27年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」受賞。
会社名 株式会社中央電機計器製作所
本社所在地 〒534-0013 大阪府大阪市都島区内代町2−7−12
資本金 1,000万円
従業員数 49 人
業 種 カスタムメイドのテスト・計測制御システム・各種画像検査装置の開発・設計・製作業
U R L http://www.e-cew.co.jp/
女性、外国人社員も活躍する会社の「働きやすい」環境づくりとは?
なぜ、理系でものづくりの会社であるにもかかわらず女性社員が社内の三分の一を占め、外国人社員が5名も在籍しているのだろうか?その秘密についてせまっていきたい。
特殊な機器を製作している同社では、手先の器用さが求められ、女性も男性と同様にものづくりの戦力になっている。女性の活躍により、社内の雰囲気が明るくなり、効率アップや作業の合理化において、女性の独特な目線や柔軟な考えから改善提案なども出している。また、社員の「やりたい!」を応援する会社でもあり、理系出身でなくても、ものづくりに興味があれば、ジョブローテーションで希望する仕事にチャレンジすることができ、OJTと社外及び社内で開催されるセミナーや勉強会を通じて技術を身に付けることで、プロフェッショナルになることができる。
ダイバーシティ経営推進による女性、外国人留学生の積極採用
平成27年「新・ダイバーシティ経営企業100選」受賞
2009年入社の中国人女性社員が入社した決め手は社風であるという。留学生の合同説明会で会社と出会い、現会長(当時の社長)のプレゼンを聞いたところ非常に面白さを感じ、興味をもったそうである。会社見学へ足を運ぶと、社内ではお客様がいらっしゃった際に作業を止めて起立し挨拶をして迎える等といったあたたかい社風や、面接で自分の言いたいことをよく言えたことから、皆と楽しく働けそうと感じ、入社を決めた。入社後は日本の文化、しきたりなどを教えていただいた。そして結婚し子供が生まれた際にはそのまま退職するのではなく育児休暇をとった。育児休暇後はライフスタイルの変化に伴い、本来の勤務時間よりも時間を短縮し、育児と仕事を両立させることができた。
上記の事柄により、外国人社員や女性社員が働きやすい!もっと働きたい!と感じる環境づくりには「社内の温かな雰囲気と、優しい社風」が隠されていたことが分かる。
高い技術力で存在感を示す
創業以来、顧客のニーズに応じた様々な計測システムを世の中に提供してきた。製品は自動車、航空機、医療機器など様々な分野で活用されている。例えば、MRIに搭載される監視装置は日本シェアNo.1だそうである。同社では、アメリカのナショナルインスツルメンツ社が提供する特殊なプログラムング言語LabVIEWを使い、システムの設計をしている。ナショナルインスツルメンツ社は全世界で約一千社のアライアンスパートナーを持つのだが、日本においてNo.1のパートナーであると昨年表彰された。
ソフトからハードの設計・開発・製造まで一貫してこなせる高い技術力を武器に、グローバルに活躍
株式会社中央電機計器製作所には、寸法自動測定装置や微細欠陥検査装置などのブランド製品がある。寸法自動測定装置はCCDカメラを用いて、フィルムなどの寸法をμ単位で自動測定する装置だ。専任のオペレーターは不要で、測定結果はExcelファイルに出力されるため、データ管理を簡単に行うことができる。作業効率の向上を求める顧客のニーズを受け、CADデータから直接測定ポイントを読み込む機能を追加し、従来のプログラム作成時間を半分以下に短縮することができた。ここ数年、特にスマートフォンやタブレット端末関係のフィルムの品質管理などに活用されており、海外十数か国に出荷した実績がある。
近年、スマホ画面の拡大傾向に伴いタッチパネル周辺の電極配線面積が狭くなり、目視による良品検査が難しくなったという顧客のニーズを受け、微細欠陥検査装置が開発された。品質の向上、品質管理に貢献。見落とし易い傷や異物も検出可能。欠陥の検出だけでなく検査画像の保存も可能な優れものである。本年4月、毎年出展している東京ビックサイトでの高機能フィルム展に展示した際に、国内外のお客様からの反響と引き合いがあった。これから、東南アジアを中心にグローバルな展開を加速させる戦略である。