地域企業魅力発信
インタビューシップ2017
奈良県の企業
株式会社御菓子司 鶴屋徳満
2017 Close-up Company!
鶴屋徳満は、奈良で明治31年に創業し、現在で119年の歴史を持つ老舗の和菓子屋です。奈良の歴史を受け継ぐ職人が精魂を込めて作り上げる『青丹よし』や『三笠』を代表とする伝統的な製法を継承しています。お蔭様で当社の和菓子たちは天覧献上、お買い上げの光栄を拝し、しばしば賞牌を受けて参りました。決して今風に長持ちは致しませんが、保存料を一切使用せず、混じりけの無い本物の味を、昔と変わらずまたこれからもお客様に提供したい、という理念を持つ企業です。
●本社所在地/奈良県奈良市下御門町29番地
●資本金/1,000万円
●従業員数/15名
●事業内容/菓子製造販売
企業の社風と、社風のわかるエピソード [古い中にも新しさを創造する菓子作り]
季節や湿度等にあわせて適している御菓子を作ること以外に、美味しさをお届けするため、毎回の工夫をしています。今回はインタビューシップ期間中に合わせて平城宮跡で開催された「七夕まつり」でかき氷の出店要請を受け、臨時販売に出店しました。近年、奈良でかき氷が一つのブームになっています。氷室神社は、毎年、製氷業界の繁栄を願い献氷祭を開催しており、当社代表が総代を拝命しています。業務用の製氷機や各家庭に冷凍冷蔵庫が普及し、氷を購入することが減り製氷業界が先細りしていく状況を憂い、何とか協力できることはないかとの思いで考えた「かき氷ブーム」です。ここにも『三方よし』の考え方が表れています。
若手社員から見た会社自慢 [伝統の中のアットホーム]
伝統を重んじる中、新しいことにも挑戦できる中小企業ならではのアットホームな雰囲気が充満しています。そして、全体の仕事の流れが見え易く風通しのよさも感じつつ働いています。新たな仕事を任せてもらった時、挑戦させてもらった時には自身の存在感を実感できます。和菓子業界は封建的・閉鎖的なイメージを連想しがちですが、待ち構える姿勢でうけるだけではなく、積極的な攻めの姿勢で仕事に臨める環境があり、そこに昔から守ってきた品質にこだわって仕事をすすめていけることが自慢です。
若手社員へのインタビュー [職人志望です]
Q,この道に入った理由は何ですか?
A,実家が洋菓子も作る和菓子屋を営む環境で育ち、加えて物づくりも好きなことも相まってこの道に進みました。その中で日本独自の四季を味わえる和菓子を作り、お客様に喜んでもらえることにやりがいを感じ仕事に励んでいます。
Q,他の業界との差は何だと思われますか?
A,他の業界の経験がないので比較できませんが、前問と答えが同じになりますが、物づくりが出来る職人になりたく志望しました。
中堅社員へのインタビュー [日々研鑚]
Q,やりがいは何ですか?
A,第一ステージで分かりやすく考えると、先ずはお客様・従業員・会社の三方向の喜びを追及することが出来ることです。しかし、この目標の実現には実現しようとする姿勢を持ち続けることが大事であり、実現が難しいからこそやりがいを感じることが出来ます。
Q,和菓子の完成度を高めるためにしていることは?
A,『花鳥風月』が大切なので花、茶、日本の文化、また、口に入る商品を扱っているので衛生管理など、様々な分野についての知識を吸収し、また他の和菓子屋店を巡り比較探求し、レベルの高い御菓子づくりを追及し続けています。
経営層(社長または役員など)へのインタビュー [『三方よし』を実践]
Q,なぜこの道に入ったのですか?
A,和菓子づくりは家業であるために重圧が大きかったです。大学卒業後、数年間貿易会社に勤務し退職後に、他の菓子店での住み込みで修行をしてからこの道に入りました。他業界での経験は人生の宝で、そのことが今に活きています。
Q,どんな時に遣り甲斐を感じますか?
A,『三方よし』とは、本来、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三つの『よし』です。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるよい商売であるという理念です。業績等に関しては過程やフィードバックを大切にし、それが結果につながったときや、お客様に美味しいと言ってもらえた瞬間にやりがいを感じます。
取材者から見た企業の魅力 [プロジェクトの体験]
平城宮跡で開催の「七夕まつり」でのかき氷店の出店、短期間とはいえ新店展開プロジェクトとして事前準備から広報・当日の運営に関われたことは貴重な経験となりました。全員で一丸となり、掲げた目標に向かって努力前進したことは、今までにない新鮮な体験でした。毎日の仕事では、その日までの反省を活かした目標に向け、老舗ということに甘んじず、新しい流れに目を向けつつも、大事にしたいことを見失わず、こだわりの材料と美味しさを追求していることが窺えたことがこのインタビューシップに参加して学べました。
私たちが記事を作成しました。
【企業担当】代表取締役・高橋直嗣("高"の字ははしご高)
【取材担当】大阪樟蔭女子大学・常木春菜