社長の人材活用日記

    
  

地域の中小企業における人材の採用や活用事例について、成功や苦労の裏話なども交えながら、社長の活動内容を日記スタイルで御紹介します。

  

滋賀県の企業

2017/03/27

株式会社タオ

   >>第一回
   >>第二回

 

◆ 第一回 ◆

1.当社の人材活用における課題

 

【社内研修について】

 弊社では社風を作ることに重点を置いて研修に取り組んできた。これまでに朝礼、委員会制度、社内外セミナーへの参加などを実施している。

 朝礼は毎日15分程度本社社員と、テレビ会議で支社社員が参加している。挨拶練習やストレッチなど独自の朝礼を行っており、参考にと他社から見学に来ていただくことも多い。朝礼の司会は当番制で、1ヶ月に1回程度は回ってくることになる。司会は2、3分のスピーチを行い、業務上の学びや日常での気づきなどを発表している。司会を務めることで自分の考えをまとめ、伝えるトレーニングになるのは勿論のこと、毎日色々な社員のスピーチを聞くことができるので、その人の新たな一面を知ったり、考え方のヒントを得たりなど、相互理解の場としても今ではなくてはならないものになっている。1回は短く集中できる時間だが、毎日行うものなので年間では60時間以上の計算になる。

 委員会は、朝礼・改善・美化・共育・親睦・貢献の6つがあり、部署を超えて希望の委員会に所属している。委員長・副委員長は役職を問わずに選出するので、業務とは異なった立場でリーダー・フォロワーの経験をすることができる。また、他部署メンバーとも密に接することになるため、業務上のやり取りがスムーズになるという利点もある。半年毎に入れ替えを行い、様々な人とコミュニケーションを取れるようになっている。

 セミナーは上記委員会の共育委員会などが主催する社内のものがある他、社外のセミナーにも積極的に参加するよう呼びかけている。社外セミナーでは、スタッフとして参加する場合もあり、聴講するだけではない経験も可能。

 他方、実務研修としては、先輩や上司に仕事の流れを教わりながら行い、業務内容を身に付けることで成長をしていくOJT(On-the-Job Training)が主である。そのため、日常的な業務については習熟できるが、部署を超えた研修が少なく、また、定期的な研修制度も整っていなかった。

日々の業務において社員全員が更に質の高いパフォーマンスができるようにするには、OJTは勿論のことOFF-JT(Off-the-Job Training)も必要であることから、新たな研修制度の必要を感じていた。

共に働く仲間への理解を深め、より良い職場環境作りを行うためにも、社員それぞれの考え方や知識を共有する場を増やしていきたい。また、会社の存在意義や向かうべき方向などを定期的に再確認できる機会として、社内研修を充実させたい、という考えが念頭にあった。

社内研修を行うにおいても、社員が望んでいるものを積極的に行っていきたいが、研修内容や形式をどのように行うべきか等検討しなければならないことが多い。更に、意欲的に研修に参加してもらい、実務に活かせる研修にするためにはどのような工夫が必要であるか考えていた。

 

【業務改善について】

改善点を登録する専用の社内データベース(以下、改善DB)を設置し、全社で共有可能にしている。語句検索も可能で、時短・節約などに活用できる。

それぞれの知識や業務内で行っている改善においては、個人が何気なく行っているものが多く、共有できていないことが多かった。改善DBへの登録は実際の改善数に比べると登録数は少ない印象で、よほど大きな改善でなければ登録するのをためらう様子があり、共有が不十分なように感じられた。共有することによって、各々のスキルアップと業務の相互理解が見込まれ、より効率的に業務が進むだろうと考えた。改善規模の大小を問わず、気軽に登録できる状態が望ましい。

そのためにはどのような環境作りが必要となるかを考えていた。共有をすることによって、コミュニケーションを図るきっかけにもなり得ると予測したため、そのどちらもが達成できる取り組みを模索していた。

 

   

◆ 第二回 ◆

 

2.課題解決へのチャレンジ

 

1)取り組み内容や仕組み

 

【社内研修について】

社内研修には、意欲的に参加してもらいたい。また、社員それぞれが足りないと感じている部分や、望んでいることを明確にし、より意義のある研修を行いたいと考えた。そのため、全社員に向け、受けてみたい内容・形式や社内研修についての意見などを問うアンケートを実施し、社内研修の内容を決定することにした。

その結果、自社製品のことや他部署について、より詳しく学びたいという声が多く上がってきた。

自社製品については、日々制作に携わっている部署とその他の部署では知識の差があったため、互いに教え・教わる場を設けることが効果的だと予測される。他部署については、業務内容を知りたいという意見が多くあったので、講義形式や業務体験などを検討している。他にも仕事の進め方・考え方の研修やディスカッションを希望する意見もあった。

アンケート結果を元に、研修内容に合わせて、形式や一度に受ける人数・メンバーなどをその都度柔軟に変更していく予定。

更に、アンケートで得られた社員の意見を反映し、社外で行われている研修への参加や、知識を広げるために必要とされる書籍の購入などの教育体制を整えることも視野に入れている。

 

【業務改善について】

改善委員会を中心として改善DBへの登録を推進し、細かな改善も共有できる環境を作ることにした。

具体的には、全社員を3、4人ずつに分け、グループごとに改善の登録数を競うキャンペーンを実施した。4ヶ月に渡って実施し、1ヶ月ごとに改善DBへの登録数を集計し、1位のグループを表彰、景品を贈呈した。最終月には総合優勝のグループも表彰した。1ヶ月内に登録数0件のメンバーがいるグループは全体の登録数が多くてもランキング除外とされるペナルティを設定し、グループで声を掛け合って上位を目指す雰囲気作りに努めた。改善委員会からは未登録者のいるグループへ、登録を促すメールを送信することも行った。まずは改善の内容は不問とし、登録数のみに焦点を当てたことにより、小さなことでも自分の行った改善を発信できる環境を整えた。

 

2)取り組み後の効果(見込み)

 

【社内研修について】

社内研修の導入によって、意識の共有や会社の存在意義などを再確認できるようになることが期待される。定期的に開催することで、足並みを揃えることができ、気持ちを一新させ、一致団結して業務に励むことができるようになると予想される。研修メンバーは部署や社歴に関係なく設定することもあるため、他部署社員と関わりを持つ機会が増え、部署間の隔たりが更に無くなり、よりいっそう社風が良くなることを見込んでいる。研修の成果も含め他部署への理解が深まり、円滑な業務を行うことができるだろう。

また、アンケートを実施し、社員の意欲を反映することにより、研修内容は実用的で、適切なものを選択することができる。そのため、実務に落とし込むことができ、更に社員が働きやすいと感じられる職場環境が作られると考えられる。

 

【業務改善について】

業務改善の共有については、グループ戦を取り入れたことにより、楽しみながら改善やその発信ができ、40人程の社員に対して、月100件以上の改善情報を共有することができた。また、少人数のグループに分かれての取り組みだったため、コミュニケーションが図りやすく、改善について話し合う良い機会となり、盛り上がることができた。

普段行っている工夫や改善が目に見える形で共有可能となり、仲間の改善を自らの業務に活かすことができるようになったことで、互いに認め合い、そこから新たな改善を考える、良い循環が生まれた。社員同士が心を通わせて尊重し合える社風が確立され、仲間の努力や頑張りに刺激を受け、自らの行動を見直す機会になった。

 

【会社概要】

株式会社タオ
住所  : 滋賀県草津市大路2丁目9-1 陽だまりビル5階
電話  : 077-566-5044
URL : http://www.tao-st.co.jp/
事業内容: 教育ソフト「天神」の企画開発と販売
代表者 : 代表取締役社長 井内良三
創業・設立:1992年 4月1日
資本金 : 1,000万円
従業員数: 41名