社長の人材活用日記

    
  

地域の中小企業における人材の採用や活用事例について、成功や苦労の裏話なども交えながら、社長の活動内容を日記スタイルで御紹介します。

  

福井県の企業

2017/03/27

トーヨーマシックス株式会社

【会社概要】

トーヨーマシックス株式会社
本社/福井市下江守町54-2-25
設立/1966年2月(1946年創業)
代表者/代表取締役社長 竹内秀和
事業内容/工作機械、産業機械、航空機の部品及び周辺装置の製造
資本金/5000万円
従業員/30人
電話/0776-35-1227
URL/http://www.toyo-machix.co.jp/

1)会社紹介 工作機械を作る技術とノウハウで航空・宇宙・防衛分野へ

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「成長産業分野に参入するために、既成概念にとらわれない自由な発想で、クリエイティブな仕事に取り組むことのできる人材が必要なんです」トーヨーマシックス竹内秀和社長

 
当社の主要事業は、工作機械の中核部品と周辺装置の製造です。工作機械とは、分かりやすく言いますと「機械を作るための機械」「部品を作るための機械」で、マザーマシンとも言われています。当社はマザーマシン製造に必要な技術、経験、ノウハウすべてを持ち合わせている“ものづくり”の会社です。

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工作機械

 
ここ何十年か私が感じるに、ものづくりの現場で医療やエネルギー、航空産業に進出する企業が増えてきたな、と。それが中小企業でも同じ流れになってきて、わが社でも10年ほど前から航空・宇宙・防衛産業の分野に参入することを目指してきました。その取り組みの成果として、ボーイング777_X、737_MAXの次期モデルの試作品の受注でしょうか。
部品を作るための機械を作っている当社が製造した部品が空を飛ぶ!宇宙へ行く! そんなロマンを現実にするため新事業を広げています。
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組立工場

 
2)我が社の人材採用方針 一歩先を考えて行動できる人を求めます

 

新入社員に求めている力は「考えてやりぬく力」です。専門の知識はあればあった方がいいでしょうが、それが採用に有利というわけではないですね。専門知識は入社してからでも学べますから。それよりも、先輩が教えたことを吸収して展開できる人、伸びしろのある人を求めています。先を見据えて行動できる人とでも言いましょうか。ものづくりと聞くとコツコツとひとつのことを製造する現場だと思われがちですけども、当社は仲間と対話を重ねて作り上げる仕事が多い現場なんです。コミュニケーション力はやはり大事ですよね。

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「じっくり育てる主義。そのためにも、コミュニケーションはとても大事」

 

入社後はいくつかの部署を経験してもらって、適性を判断して本配属します。一つの部署に長く籍を置くというのではなく、5〜6年で異動するようにもしています。現場もコンピュータ化が進みシステムを理解しないと動かせないので、メーカー研修で使い方や仕組みをしっかり勉強してもらうこともあります。

3)我が社の採用活動 「現場見学をしてほしい」という私の希望をマッチング会で実現

 
隔年で新卒採用を行っていましたが、昨年あたりからどうも応募が少なくなってきて。福井県中小企業団体中央会さんに相談したところ「ものづくり業界課題解決マッチング会」(『近畿経済産業局の地域中小企業人材バンク事業』)を教えてもらいました。希望者が現場を見学してから面接を希望するという企画でして「これなら採用のミスマッチも少ないだろう」と、すぐ担当さんにお願いしました。平成28年8月末に、参加者19名というバスツアーでしたね。私としては、工場に来て、見て、興味を持ってほしかったんです。見学すれば「自分はここでこういうことをするんだ」とイメージできると思うんですよ。

参加者がツアー後に中央会さんと面談して、会社を希望する流れでした。このワンクッションがいいんですよ。中央会の担当さんは私の欲しい人材を把握しているし、学生の気持ちや適性も理解している。こうしたマッチングは本当にありがたかったです。


4)成果 当社で仕事をしたい! 明確なイメージを持った学生を採用

 
マッチング会後、3名の応募がありました。そのうち1名は営業職希望の女子学生でした。

福井出身だけど、県外の大学で語学を学び、卒業後は福井へ戻って就職したいと。積極的で前向きな印象を受けました。航空産業は英語がスタンダードですから、取引先も海外企業、取り寄せる機械や部品の取り扱い説明書は英文という世界なんです。学生は、その話を聞いて語学を生かせる仕事に就きたいと。一方、当社もその力を生かしてほしいということで、お互いにマッチしたんです。もちろん、語学力だけでは仕事になりませんが、現場と取引先をつなぐ力になってくれたらと期待をしています。

これまで表立って会社をアピールすることをしてきませんでしたが、「航空産業への進出」という新事業もふまえ、企業アピールをしていく方針に切り替えました。アピールの仕方も中央会さんからのアドバイスです。学生の応募があるかどうかは、会社の知名度も左右されると聞きまして。その後事業について新聞に掲載されたからでしょうか、航空分野にあこがれる学生が集まってくれました。自分たちの会社を表に出すって大切なんだと。

『近畿経済産業局の地域中小企業人材バンク事業』を利用して、会社として新しいことにチャレンジしている姿勢を見せる。それが若い人たちのやる気につながる、ということに気が付きました。ものづくりの現場で平均年齢が30代と若いことも、学生だけでなく取引先の高評価につながっています。取引先から「信頼に応える力を持ち合わせている」「継続した取引ができる」と期待もあるようです。

平成27年に航空宇宙分野の品質保証規格「JIS Q9100」を取得したことで、さらに信用度が高まりました。福井県の企業では初めてで、日本でも500社しか取得していないというとても難しい規格です。厳しい品質保証を守り、20代30代が一丸となってものづくりに励む若い会社というのが、当社の隠れた魅力です。次はこの若さをもっとアピールして社会や学生の関心を呼び込みたいですね。
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航空宇宙分野の品質保証規格「JIS Q9100」ライセンス証(左)

 
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社屋外観