社長の人材活用日記

    
  

地域の中小企業における人材の採用や活用事例について、成功や苦労の裏話なども交えながら、社長の活動内容を日記スタイルで御紹介します。

  

福井県の企業

2017/03/27

フレッグ食品工業株式会社

【会社概要】
フレッグ食品工業株式会社
本社/吉田郡永平寺町諏訪間65-1-1
設立/1950年5月
代表者/代表取締役社長 斎藤眞理夫
事業内容/食品製造販売業・卸売業
資本金/7,800万円
従業員/22人
電話/0776-63-3633
URL/ http://www.fregg-foods.com/

 

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「誠実にものづくりをしている人にもっとスポットライトが当たる世の中になれば」
フレッグ食品工業株式会社 斎藤眞理夫社長

【会社紹介】 食の新しい価値を提案したい。

 

当社フレッグ食品は「玉子とうふ生みの親」。1950(昭和25)年に創業し、61(昭和36)年に袋入り玉子とうふを業界で初めて発売しました。新鮮な玉子や天然素材のだしを使っていて、都内の有名料亭でもご愛顧いただいている自慢の商品です。


私は古くから伝わる料理や食の様式を復興、再構築したいと考えてきました。例えば、福祉施設から好評をいただいている「和味クッキングスタイル」というサービスは、衛生管理から食器のセットアップまで手掛けています。つまり単に食品の生産販売だけでなく、利用者の方に安心・安全な食卓の演出を提供しています。そのために、今後は管理栄養士などの人材も補強していきたいなと。

また、2015(平成27)年に本社の敷地内にアメリカンスタイルのバーベキュー場「ラブとるズ ガーデン」をオープンしたのも「新たな食事の提案」の発想から。日本のバーベキューはあらかじめ薄切りにした肉を焼きますが、アメリカは丸焼きのような大きな塊肉をじっくりと時間をかけて焼き、みんなでシェアするというスタイルなんです。シェアすることで家族や友だち、会社の同僚たちとの親近感も深まるんじゃないかなと。

私は2代目で、いわば「第2創業期」を作り上げてきた立場です。小売業界からの要請もあって薄利多売の価格競争を続けたのですが、このスタイルはいずれ立ちゆかなくなるだろうと「食品から食事へ」を掲げたわけです。10年ほど掛けてようやく次の「第3創業期」に引き継げる体制ができたかなと思います。

「企業は何よりもまず従業員と家族のためのものである」というのが私の考え。自分で言うのもなんですが、社内の雰囲気はアットホームだと思います。組織そのものも社長の私自身が製造本部長・営業本部長を兼務して、フラットな構成になっている。現場の声を直接聞けるし、何か事を起こすときもスピーディな動きができるんです。

【我が社の人材採用方針】 製造現場を知り「血の通った商品企画」につなげて

 

「和味クッキングスタイル」の確立、バーベキュー場のオープン、さらに関東や九州方面での駅弁フェアの企画・運営など、ここ10年程は新規事業にまい進して、新卒社員採用まで手がまわりませんでした。
久しぶりに再開した新卒の採用活動は、総合的に企画を担当する主任と工場長に任せました。最終面接には私も加わりますが、30代の現場担当が採用に関わることで「自分たちが採用した」という責任を感じてもらいたいという考えがあるからです。

入社後はまず工場で初期教育を行います。いずれ営業職として配属されるとしても、食品メーカーに入社する限りはベースである製造現場を知ることが大切。ここで人間関係をつくり現場の大切さを知ってほしいという思いがある。現場ではいろいろ作業が待っているけど私はすごく創造的な仕事だと思います。

福井市の田原町で創業したころ、私自身も自ら玉子焼きを焼いたりトラックを走らせて配達に回ったりしていました。商売というのは全ての段階において人の存在がある。このことを忘れてしまうと、たとえ営業職に就いたとしても、作る企画がどこか血の通っていないものになると思うんです。


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同社が手掛ける弁当の数々。越前焼や越前漆器など、器も「福井産」にこだわります

 
我が社の採用活動 良い人材がいればと、マッチングバスツアーに参加

 

新卒採用を再開した当初は手探りで、設備投資などの助成金申請でお世話になっている福井県中小企業団体中央会さんに相談をしたのが、2016(平成28)年2月頃です。
中央会さんから求職中の学生の紹介を受け、会社見学や面接を経て入社が決まったんですが、半年たたずに退職という結果に。残念でしたが、良い人材がいれば採用したいという意思は変わらなかったので、同年12月に中央会さんが実施した近畿経済産業局主催の『ものづくり業界課題解決マッチング会』に参加しました。
食品業界に興味のある学生が集まるバスツアーで、10人が当社を訪問いただき、製造現場もちゃんと見てもらうことができました。その後、当社のことをきちんと理解した上で6人が採用試験に応募してくれたのがうれしかったですね。業種に絞り込みを掛けた上で、さらに製造現場のこともちゃんと見てもらう。実際に来てもらうことで働くイメージをリアルに想像でき、ミスマッチがより少なくなるんじゃないかと。


「今こそ食の生産と流通の仕組みを作り直すべき時」という思いを込めたポスター


【成果】 就活とは、学生と企業との「お見合い」

 

当社の社員は、誠実で真面目に物事を捉えることができる社員が揃っていると思います。

企業姿勢としては当たり前のことですが、食品は産地偽装などのウソは絶対だめで、より正直な人が関わるべき。それと、食品は唯一と言っていいくらい「いただきます」と手を合わせて使ってもらえるもので、私たちも「感謝」の気持ちを忘れてはいけない。そういう思いに共感した学生が応募してくれたんでしょう。
就職というのは、学生と企業との「お見合い」だと思います。学生の思いに耳を傾けながら、私たちがどんな思いで仕事をしているかもきちんと知っていただきたい。単なる会社説明会では伝わらない部分も大きいので、これからも会社訪問のバスツアーなどがあれば手を挙げていきたいと思っています。
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「当社の所在地である「諏訪間(すわま)」に、命を頂くことへの感謝や日本古来の伝統の意を込めた「寿和間」の文字を当てて」



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「福井県食品衛生自主管理プログラム(福井県版HACCP〔ハサップ〕)認証を取得、高いレベルで品質管理を行っています」