社長の人材活用日記
地域の中小企業における人材の採用や活用事例について、成功や苦労の裏話なども交えながら、社長の活動内容を日記スタイルで御紹介します。
福井県の企業
株式会社オーカワパン
【会社概要】
株式会社オーカワパン
本社/坂井市丸岡町猪爪2-501
設立/1964年3月(1948年創業)
代表者/代表取締役 大川恭史
事業内容/パン類の製造販売
資本金/1200万円
従業員/76人
電話/0776-66-0237
URL/ http://okawapan.co.jp
【会社紹介】安定した品質をお客さまのもとへ。食への責任を持つ会社
「“心を満たすパンづくり”がモットー」株式会社オーカワパン 大川恭史社長
1949年創業の当社は、パンの製造販売一筋の会社です。「あの日の『おいしい』をこれからも」をキャッチコピーに掲げ、安定した商品づくりを心掛け、福井県、石川県のスーパーに毎日焼き立てのパンを配達しています。現場では20代から70代まで男女問わず約80人近いスタッフが働いています。
大手のような機械化された工場ではなく、それぞれがパンの製造工程で役割を持ち、チームワークと食に対する責任感を持って勤めてくれています。大きくくくりますと営業部と生産・管理部の2つの部があります。早朝に出勤してスーパーの開店前にパンを配達するのが営業の仕事。彼らは午後に焼き上がったパンをもう一度届けに出かけます。生産・管理は主に製造です。仕込み、成形、焼成、包装と4部門に分かれていて、製造段階に応じて仕事をするので勤務時間はシフト制です。もちろん早朝出勤もありますよ。
【我が社の人材採用方針】ミスをしていい。その次になぜか?どうするか?を考えられる人が欲しい
当社では毎年、営業と生産・管理の2つの部で人材を募集しています。面接や試験を経て、必ず行っているのが「現場体験」。2日間ほど会社で実際に働いてもらいます。
営業といっても飛び込みや新規開拓ではありません。配達とも違います。当社は県内スーパーから販売用の「棚」をお借りして自社商品を陳列して販売する手法です。営業担当の社員には「この棚をいかに売れる棚にするか」を念頭に置いた上で、レイアウトや商品選択をすべて任せています。ですから「売れ筋商品は何か?」「この時期、何をお客さまは気にしされているのか?」など常に考えて行動することが求められるんですよ。
当社は月に4アイテムの新商品を出していて、自前で店頭ポップも作成してお店に並べます。
フットワークの軽さが大手に負けない武器です。
生産・管理はパンを作る職人です。長年働く先輩たちと一緒に働き、手順と手際を覚えてもらいます。しかし職人たちが「作りたいパン」と「売れるパン」は違うんですよね。新商品を発案するときも、そういう気付きをもってもらうため、営業担当と一緒にスーパーを回ることもあります。自分たちが作ったパンをどんなお客さまが買ってくださるのか、顔を見るのも大事なこと。製造から営業へ、その逆の異動もある配属計画を立てています。社員のみんなには、自社について小さなことでも経験を積んでほしい。そうすればもっと会社全体を知ることができると考えています。
私はもっと効率化をはかり、生産性を上げたいと思っています。機械に任せられるところを任せた上で、データを見て「次はどうするか」と考える。販売計画や売り上げ予測を立てたときに実績と違いがあれば「なぜ差ができたのか」と考えられる。こうした気付きを持つ人材を欲しています。
実は2017年に当社が掲げているテーマが「いかにミスをするか」なんです。ミスする人大歓迎。ミスは課題の抽出に繋がりますからね。だから「失敗を恐れない!」という学生さんに来て欲しいです。
【我が社の採用活動】次につなげる人材を育てるために、社内体制も見直していく
採用に関しては現場のリーダーたちに一任しています。私が表に出てしまうと、私と波長が合いそうとか、似たような人を選んでしまうでしょうから。会社は個性のある人たちの集まりであってほしいので、あえて口出しをしないようにしています。
心の中では「次の社長を育てたい」と思っていますよ。無茶ができ、ミスができ、でも同じミスは繰り返さない豪快で繊細な人。朝早くパンを作り、県内を回る当社は肉体労働のように思われるでしょう。働く人たちのステイタスをもっと上げたい。勤務内容も福利厚生も充実させてゆくゆくは「社員になるのが一番難しい会社」なんて言われたいです。そのため社内体制の見直しを常に図っています。
そんな想いを持っていたところに、2016年の夏、福井県中小企業団体中央会さんから「ものづくり業界課題解決マッチング会」(『近畿経済産業局の地域中小企業人材バンク事業』)の提案を受けました。「食の業界に興味のある学生」に向けたマッチング会ということで10人以上の見学者が当社に来られ、2人の希望者がありました。残念ながら採用には至りませんでしたが、学生たちが自分の興味のある業界を巡れば何かしら得るものがあると思います。私たちも学生が列をなして入社したいと思われるよう、魅力的な会社作りをしなくては、と決意を新たにしました。
【成果】お客さまを思いながら社員全員で話し合い未来を作る
「お客さまの喜びのために、私たちがパンを通してできることは何か」と考えて行動できる社員、それがオーカワパンの社員です。今働いている社員は皆その気持ちを持って行動しています。例えば、パン作りの工程を見直すことを話し合う。改善して生産性が上がりパンを1個でも多く届けられれば、それはお客様の喜びに繋がるわけです。このように社員全員が協力して作り上げていくことができる会社です。「パンの食べ方教室」ができるキッチンカーや海外へ販路構想などもあり、私たちと一緒に夢を共有してほしい。といっても、最初はまじめにコツコツと働くことをいとわず、製造も営業も地道な作業を重ねて経験を積むことからになります。パンの業界に夢を持って飛び込んできてくれる学生に期待をしています。