社長の人材活用日記
地域の中小企業における人材の採用や活用事例について、成功や苦労の裏話なども交えながら、社長の活動内容を日記スタイルで御紹介します。
福井県の企業
株式会社ジェイバックス
【会社概要】
株式会社ジェイバックス
本社/鯖江市吉江町12−35−2
設立/1991年10月
代表者/代表取締役 細井八重
事業内容/スポーツウェアのデザイン・マーキングなどの企画・製造卸
資本金/1000万円
従業員/27人
電話/0778-52-0340
URL/なし
【会社紹介】昇華プリントの技術、人の支えとご縁で成長!
「鯖江市に本社を移して9年。福井の方の勤勉さと温かさのおかげで
会社も成長できています」 ジェイバックス 細井八重社長
皆さんは昇華プリントって知っていますか?簡単に言うと、特殊インキを昇華(気化)させてサッカーのユニフォームや陸上のウェアに背番号やロゴなどを印刷する技術のこと。刺しゅうやワッペンなどはウェアが重くなったりゴワゴワしたり、風通しが悪くなりますが、そうした欠点を克服するのが昇華プリント。ウェアの柄だけでなく、背番号や個人名など1枚ずつ異なる文字を全て一体化して印刷できる特徴があります。福井県内の昇華プリント関連企業の中で、当社のように企画・染色・裁断・縫製・出荷などを一貫して行っているのは珍しい存在です。
創業した名古屋から鯖江市に本社を移したのが今から9年前の2008年。当初は5人ほどの従業員で、親族だけで業務を始めました。並行して、近所の方々と顔なじみになるなど知人のつてを広げ、お手伝いいただける縫い子さんを増やすなど少しずつ規模を大きくした経緯があります。そのころの平均年齢は40歳〜50歳くらいだったのではと記憶しています。
福井に来て良かったなと思うのは、何かに困っている時に「助けてあげたい」と思ってくださる人がいるところ。うちがここまで来れたのには、優秀な人を紹介いただく縁に恵まれたことが大きいと感じています。若い世代が入ってきて、会社自体が、人が人を育てる体制になってきたという実感があります。
「当社が手掛ける“ゲームウエア”。大手スポーツメーカーやスポーツ衣料を扱う商社や企画会社が主な取引先」
【我が社の人材採用方針】継続的採用こそ「新社会人から一人前へ成長する後押し」
創業した当初に感じたのは、福井の人の勤勉さと温かさ。本当にみるみる技術を習得して頼もしく感じたことを思い出します。ここ数年、20代の若い方を採用するようになって会社の雰囲気が少し変わってきたように思います。若い社員の部下にさらに若い人をつけることで「新社会人から一人前へ成長する後押し」としたいと考えています。
ゲームウエア製造には企画、染色、縫製などの工程があり、入社後1週間ずつ計6週間で全工程を体験し、仕事の流れを把握できるような教育を行っています。その後本人の希望も聞いて判断し配属を決めることになります。
【我が社の採用活動】当社にぴったりのマッチング 前向きな働きぶりがうれしいです
若い人を採りたいと思い出してから、人材確保の難しさを痛感。ハローワークに通い求人票を出しても、水が合わなかったというか思うように採用が進まず……。当社も人件費の相場や求める人物像など言いたいことを言い過ぎていたかもしれませんね。 そんな悩みをかかえていたとき、福井県中小企業団体中央会の「ものづくり補助金採択事業」に申し込みをしたことがありました。その時、中小企業庁の人材バンク事業を行っていると聞き、求人申込書を出したところ、2カ月ほどして「ジェイバックスさんに興味を持った女子学生がいる」という話が来たんです。
担当さんの話によると「細井社長と相性が合うのではないかと思って紹介した」とのことで、私としてもうれしくなりさっそく見学に来ていただきました。話を聞くと住まいが当社から車で10分くらいのところで、冬場の通勤も問題なさそうだなとも感じました。何しろ名古屋から来たもので雪のことが気になるんですよね。
彼女もうちのことを気に入ったようで、見学後改めて面接をして採用が決まり、今は大手スポーツ店チェーンとの窓口となって働いています。一人でこなしているんだからすごいものですよ。
本人に尋ねたところ、会社訪問での社員の対応が入社を後押ししたようです。「入社するまで人と話すのがあまり得意でなかったけど電話対応もうまくできるようになり、仕事の段取りも自分なりに工夫できるようになった」と話してくれました。
「会社見学で丁寧に対応していただいたのが決めてでしたね。家から近いのも魅力(笑)」(2015年入社・坂井和紗)
【成果】企業は人から 若い人のがんばりとご縁に感謝
今年度は、もう一人、大学新卒の20代男性社員も採用しました。もともと若手男性社員を採用したいと思っていたところに、中央会さんが行っている近畿経済産業局の地域中小企業人材バンク事業に求職登録している人材の中から紹介いただいて、また会社見学に連れてきてもらいました。
話を聞くと「口下手な方なので、就活は大企業志向でなく、アットホームな社風の企業に的を絞って進めた」ということでした。実際に話をしてみても素直で純粋で、今どきの好青年という印象。大学の実習でデザインソフトの「イラストレーター」を使っていたと聞いたので、私としてはデザイン部門を志望してほしかったのですが、本人はCAD・CAMの方に興味があったみたいで(笑)、配属も裁断などのオペレーションをする部門になりました。 自ら志望しただけあって、先輩社員と一緒だったCAD・CAM研修に行ってからの仕事の意欲には驚いた。会社として今、刺しゅうの質感を再現できる「刺しゅうもどき」のようなプリントにも取り組んでいるのですが、担当者として一生懸命やってくれていて。本人も「自分のやることが会社の強みになるかもしれないと思うとうれしい」と話してくれています。
「アットホームな社風に惹かれ、入社を決意しました」(2016年入社・黒澤優斗)
「刺しゅうの質感を再現できるプリント。会社の強みにつながればうれしい」
入社時点では全くの素人だったのに、半年ほどで新製品の開発に取り組めるくらいに技術を習得しているのに感動します。本物の刺しゅうもいろいろと取り寄せて、立体感の再現についてすごく勉強を重ねています。
「仕事を任され業務を自分で段取りしていくことで、自分の成長を実感します」坂井和紗(左)
「自分の仕事が会社の武器につながると思うとうれしい」黒澤優斗(右)