社長の人材活用日記

    
  

地域の中小企業における人材の採用や活用事例について、成功や苦労の裏話なども交えながら、社長の活動内容を日記スタイルで御紹介します。

  

和歌山県の企業

2017/03/27

髙木彫刻株式会社

t-1.png

   >>第一回
   >>第二回

 

◆ 第一回 ◆

皆さま、こんにちは。

髙木彫刻株式会社、社長の髙木秀仁です。

我が社の「社長の人材活用日記」を訪問くださいまして、ありがとうございます。

こちらでは、日ごろお伝えできていないことを中心に我が社のことを紹介したいと思います。

どうか最後までお読みください。

t-2.jpg

 

我が社が求める人材

 

金属の腐食技術分野では、金属の特性に興味があり、腐食に関する研究開発に挑戦する若者を求めています。

また、金属の微細加工に関してレーザー加工やNC加工の研究を行っている若者も求めています。

さらに、めっきに関しては高精度の電解めっきの研究を行っている若者を求めています。

ただ、我が社は中小企業であるため研究に特化した部署があるわけではありません。

作業をしながら開発を行っております。

我が社は根気よく仕事に取組む人材を求めています。

t-3.jpg

 

我が社の特徴

 

我が社は、創業96年の会社です。

創業当時は和歌山の地場産業である捺染(繊維関連の印刷)用の版の製造から始まっております。

その後、培った技術を生かし繊維以外の分野に取組みました。

和歌山の地にしっかりと根を張った固有技術を生かした金属加工業の会社です。

 

我が社の活動は「衣・食・住・情報」のあらゆる分野に及んでいます。

t-4.png

技術開発を通じて、世界中の人々の暮らしを豊かにしています。

衣・・・・衣料の服地の柄プリント。この多様なニーズに応えている柄の版には我が社の金属ロールの彫刻技術が貢献しています。

t-5.png

食・・・・たとえば絵柄がついたクッキーなどのお菓子。クッキーへの印刷用の版に我が社の彫刻技術が採用されています。

 

住・・・・住宅に使われる様々な壁紙や床材。毎年新しい柄が生まれますが、これらの製造には我が社のグラビア製版技術やエンボス加工技術が貢献しています。

t-6.png   t-7.png

情報・・・モバイル機器の画面に使用される光学フィルムは我が社のアニロックスロールやニッケルスリーブを使用して製造されています。

t-8.png

 

我が社の存在目的

 

我が社は、「世の中の人々の暮らしをより豊かにする」ために存在すると自負しています。

そのため、次のような理念から年度の経営方針まで、一貫した考えを明確にしています。

理念:果てしなき挑戦

Vision(経営理念):誠心誠意、優れた技術であらゆるニーズにお応えする

Mission(使命):既存分野のみならず、新しい分野に TAKAGI の固有技術と開発力で、製品を提供する。

ミッションを達成すべく、毎年経営方針を立て、社内に浸透を図るのみならず対外的にも公開しています。

ちなみに第79期(2016年度)の 経営方針は、

1)精度・・・高品質の確保と検査力の強化

2)効率・・・生産性の向上と納期対応の徹底

3)開発・・・技術の追究と製品化の期間短縮

です。

そして合言葉は、

変化を捉えて さらなる改善 確かな管理 「選ばれる企業」 みんなで実現!!

です。

もちろん、これらは定量的な目標にも落とし込んで、その進捗管理が図れるようにもしています。

t-9.png t-10.png

 

採用活動状況

 

我が社の人事戦略に基づき、直近では、冒頭にも書いているように、製造兼研究開発を担う金属の加工分野に興味のある若者を求めています。

他の大学卒業者については、営業を中心に2〜3年サイクルで採用するようにしています。

また製造部門では高校卒業者を定期的に若干名採用しています。

t-11.png   t-12.png

■最近の採用に関する取り組み例

・インタビューシップ(近畿経済産業局事業)

・インターンシップ(高校生を中心に適宜)

・きのくに人材Uターンフェア(和歌山県経営者協会)

・合同企業説明会 (和歌山県中小企業団体中央会)

 

コンサルタントからの一言

 

髙木彫刻株式会社様は、固有技術を生かした完全な「B to B」の会社です。ホームページを見てもお分かりの通り、多くは技術のPRに特化し、お客様(潜在を含む)向けの内容になっています。そのためか周囲からは少し地味な会社に見えています。しかし、実態は素晴らしい会社だという印象を受けました。

現在の社長様は3代目で40歳という若さで、伝統を守りつつ、変革も必要と訴えます。

t-13.jpg

ヒアリングの中で「社員の成長と活躍」をとても大切にされていることをお聞きしました。

当会社は、なんと50年ほど前から「オープン経営」に取組み約40年前から実行されており、会社の業績は月次で社員全員が共有しているそうです。

そして育成はOJTに加えOff-JTの研修も計画的にしっかりと行われており、さらにグループ活動(委員会活動)なども活発で、これらの実績が功を奏してか、社員の離職率は1.3%(直近5年間の平均)と、日本国内の平均(約10%(※1))に比べて良い方です。

開発と必要な技術はTLO(技術移転機関)などに大学の研究チームなどの紹介を依頼しているものの中々マッチングには至らず、「良い人材が居れば採用したい」という意欲をお持ちであるように思われました。

もう少し主体的なアクションに変えていただくべく、いま必要な人物像を明確に露出させ、広く学生やその保護者にも見て理解していただき易い内容で掲載いただくことをお勧めしました。

また当会社のホームページでは「人」の活躍ぶりが見えにくいことから、こちらの「社長の人材活用日記」のコーナーでは、社員の育成や活躍ぶりに焦点をあてた内容を次回は書いていただけるようにお願いしています。

世の中の人々のより良い暮らしを、陰で支えている必要不可欠な素晴らしい技術開発型の会社であるなと思いました。

(※1)参照:厚生労働省 平成28年8月24日 −平成27年雇用動向調査結果の概況−

今&未来の創造サポート

代表 谷口 博則

 

   

◆ 第二回 ◆

皆さま、こんにちは。

髙木彫刻株式会社、社長の髙木秀仁です。

我が社の「社長の人材活用日記」を訪問くださいまして、ありがとうございます。

今回は2回目の投稿です。
少し社員の育成や活躍ぶりを紹介したいと思います。私は、我が社が社会から必要とされ継続するためには、一緒に働く社員の心のありようがとても重要だと思っています。社員自身が「成長した」と実感できるよう、育成に力を注いでいます。

どうか最後までお読みください。

t-14_.jpg

 

オープン経営

 

50年ほど前に経営コンサルタントの先生の指導を受け「オープン経営」の考え方を導入し、徐々に形を作り上げて来ました。現状の形でスタートしたのは今から約40年前となり現在にいたっています。「オープン経営」とは

1.心のオープン…理念・方針を開示し従業員の皆さんに訴えていく。

2.経理のオープン…月次決算を開示し目標を共有する。

3.システムのオープン…就業規則や給与体系を開示する。

以上の3点を指します。当時としては珍しかったことと思います。

具体的には、年始の朝一番に本社にて全体朝礼を行い、今年の抱負と新年度の経営方針を発表します。その後、経営方針を基に各部各課が具体的な施策を作成します。新年度の3月21日(当社は3月20日が決算)に再度全体朝礼を行い、前年度の実績と本年度の各部の月次売上及び利益計画を発表し、社員全員で目標を共有します。

 

たとえば、製造部門が業績(利益)を上げるためには、一定量の仕事確保が必要です。それは、営業が受注してきてくれてこそ仕事が得られるのです。だから、お客様から納期が厳しい仕事を営業が受けてきても、何とか間に合わせようと一所懸命に頑張ってくれます。もちろん営業は、製造の仕事量を確保しなければ営業部門のみならず、製造部門の業績も悪くなることは自明の理で、そういう意味で一体感の醸成が出来ているように思います。

全体朝礼で全員に説明しておりますが、利益が当初の目標を上回ったときには、3回目の賞与として決算賞与を支給するようにしています。

 

育成システム

 

我が社の育成システムは、主にOJTとOff-JTです。

特に製造部門はOJTが重要です。我が社には固有の数々の彫刻技術等があり、それらの技能を先輩から後輩に上手く伝承しなければなりません。そういう意味で、日常のOJTを通じて、先輩社員は若手の後輩に丁寧に技能を教えています。

t-15.png t-16-1.png t-17.png

もちろん、管理系や事務系の仕事においてもOJTの風土はしっかりと浸透しています。

それから、Off-JTも階層別や職種別に、毎月1回は学ぶ機会を提供しています。

外部の講師を招くこともありますが、主に我が社の役員や幹部社員が講師を務めています。

t-18.jpg

内容は、ビジネスマナーから営業に必要な知識、経理的な知識、納期管理、顧客管理といった幅広いテーマで行っています。

t-19.png

 

各種グループ活動

 

我が社には主に4つのグループ活動があります。それは、1)5S活動、2)QC推進委員会、3)新商品開発委員会、4)安全衛生管理委員会の4つです。

t-20.png

いずれも、年齢に関係なく縦断的に組織しております。

定期的に成果の発表会も行って、特に優れた内容に対しての、表彰制度も設けております。

 

人事制度

 

我が社の賃金制度は、年功的な要素である定期昇給する部分と、人事考課に基づいて変化する部分とのハイブリッド型を採用しています。ある一定の年齢までは、昇級の度合いが予見できますので、ライフデザイン(人生設計)が描き易くなっていると思います。

 

そして、評価制度は目標管理制度を導入しています。

こちらは、上司が一方的な評価をするのではなく、部下が自己評価したものを上司が評価し、フィードバック面談を行い、更なる成長の礎とします。そして、評価結果にギャップが生まれた場合には特にしっかりと上司と部下とで話し合いをすることになっており、納得した上で、次の目標に反映させることになります。

 

コンサルタントからの一言

 

髙木彫刻株式会社様は、固有技術を生かした完全な「B to B」の会社です。前回も書いたとおり、周囲からは少し地味な会社に見えています。しかし、実態は素晴らしい会社だという印象を改めて受けました。

現在の社長様は3代目で40歳という若さで、伝統を守りつつ、変革も必要と訴えます。

ヒアリングの中で「社員の成長と活躍」をとても大事にされていることをお聞きしました。

t-21.jpg

特に印象に残ったことは、営業の方のみならず製造スタッフも積極的にお客様と接点を持つ機会を作っているそうです。結果、お客様から感謝の言葉をいただいたり、場合によってはお客様が製造スタッフを指名してくることもあるそうです。こういったことが社員の外発的動機付けに繋がっているのでしょうね。社員の定着率が良いということが納得できます。

そして今回は、実際に「社員の成長と活躍」のために取り組んでおられることをこの「社長の人材活用日記」でオープンにしていただきましたので、学生を含むすべてのステークホルダーの方たちに知ってもらい、今までと違った良い一面が理解されるものと考えます。

さらに今後は、社員がより働き甲斐をもって仕事に取り組んでくれるよう、従業員満足度調査や、セルフ・キャリアドック制度の導入なども検討してみては良いのではないかと思います。

そして機が熟せば、当会社のホームページで社員の活躍ぶりなども見えるようにコンテンツをアレンジされると、今以上に読者の皆さまから好感をもってもらえるのではないかと思います。

世の中の人々のより良い暮らしを、陰で支えている必要不可欠な素晴らしい固有技術を有する会社であることは間違いないと思っています。

今後ますますのご発展をお祈りいたします。

 

今&未来の創造サポート

代表 谷口 博則

 

会社概要

商号

髙木彫刻株式会社

創業/設立

1921年(大正10年)2月13日 / 1948年(昭和23年)12月8日

資本金

6,750万円

代表者

代表取締役 社長執行役員 髙木秀仁

従業員

91名

営業種目

■各種金属エンボス彫刻加工、グラビア製版、アニロックスロール、精密細径ロール、捺染用ロール彫刻、ロータリースクリーン製版、RSIロータリースクリーン製版、フラットスクリーン製版、軟/硬質銅メッキ、硬質クロームメッキ、ニッケルメッキ、ニッケル電鋳製品、ロータリースクリーンパーフォレイティッドシリンダー、ニッケルスリーブ、各種スチールロール加工

■海外輸出入業務(関連資材、製品、機械の販売、エンジニアリング業務、技術指導)

本社

所在地 〒640−8392 和歌山市中之島1525番地
Tel:073-423-5205(代表) / Fax:073-428-0227

会社URL

http://www.takagi-chokoku.co.jp/

採用窓口

総務部 Tel:073-423-5205(代表) / Fax:073-428-0227

E-Mail

chokoku@takagi-chokoku.co.jp(代表)